八島研究室                   物質科学専攻/化学専攻併任

研究室の紹介

八島 教授

藤井 助教

丹羽 特任助教

研究室名 八島研究室(Komatsu Laboratory)
スタッフ 八島正知 教授
(西4号館410号室/E-MAIL:yashima@cms.)
藤井孝太郎 助教
(西4号館405号室/E-MAIL:kfujii@cms.)
丹羽栄貴 助教
(西4号館405号室/E-MAIL:niwa.e.aa@m.)
参加している
学会
日本結晶学会、日本セラミックス協会、日本金属学会、日本化学会、中性子科学会、電気化学会,熱測定学会、固体化学の新しい指針を探る研究会
イベント

※E-MAILにはtitech.ac.jpを付けて下さい。

研究内容

 構造と電子を調べて材料開発
現代社会には、エネルギー、環境、バイオ、エレクトロニクスなどの分野に多くの課題が山積みです。これらの課題の解決には優れた材料を開発することが必要ですが、そのためには材料の結晶構造(原子配列)と電子の状態を調べることが鍵となります。当研究室では、近年発展が著しい精密構造解析技術を駆使して、実用材料の結晶構造と電子を調べています。材料の多くは高温で使用し、あるいは高温で合成するので、高温下に試料を保持したまま結晶構造と電子状態を実況中継(その場観察)して材料特性との関係を明らかにすること「高温構造物性」に力を入れています。そのために世界で唯一の高温構造解析システムをいくつか開発して(図1a, b)、他人に真似できないオンリーワンの研究を行っています。さらに結晶構造に基づいた物質・材料のデザインを行っています。高温解析という要素技術も確立して、これから飛躍する研究室です(図1c)。化学と材料科学におけるブレークスルーを目指します。

(1) 高温での精密構造解析システムの開発:優れた研究をするために、オンリーワンの装置を自分達で開発する
八島研究室では、「高温での精密構造解析システム」をいくつも開発しました(図1a, b)。この装置群を活用して世界初、日本初、オンリーワンを連発しています。その結果、原子、イオン、電子の広がりと構造を、空気中1900 Kという高温に試料を加熱したまま正確に求めることができ、「高温での精密構造物性」という新分野を切り開いています。


図1. 八島研が中心になって開発してきたオンリーワンの高温精密構造解析システム群(a)放射光回折計に設置した高温加熱装置(BL-4B2@KEKに設置)。原研の研究用原子炉(d)の高温中性子測定システム(b) (回折計HERMES@東北大に設置)。(c) 結晶構造と電子を調べて材料を開発する八島研メンバー(2011年3月現在)。


(2) イオン・原子の位置と動きを調べる:中性子回折実験
エネルギー・環境分野の鍵を握るのは、固体中をイオンが流れるイオン伝導体です。イオン伝導体におけるイオンの位置と動きを中性子と放射光を使って調べています。当研究室では、世界に先駆けて燃料電池材料であるランタンガレート(図2(a))、最も酸素イオン伝導度が高い酸化ビスマス(図2(b))、リチウムイオン電池材料におけるイオンの位置と拡散経路を決定することに成功しました。また、触媒材料などのナノ物質、強誘電体等における結晶構造相転移も次々に明らかにして材料開発に生かしています。また、新しいイオン伝導体の設計も行います。


図2. 当研究室が中心となって実験で明らかにしてきた、(a)ランタンガレートにおける酸素イオンの伝導経路(白抜き矢印, 1392 ℃)、(b)酸化ビスマス固溶体における酸素イオンの伝導経路ネットワーク738 ℃)、(c)ペロブスカイトの電子密度分布。Ti-O原子間に共有結合が実験で見える(1401 ℃)。Ti 3d軌道とO 2p軌道が重なって共有結合が形成される。


(3) 共有結合を可視化する:放射光回折実験 超高分解能で複雑な先端材料も調べる 結晶・電子構造に基づいて材料設計
多くの先端無機材料では、イオン結合共有結合を自在に組み合わせてお好みの材料特性をつくります。一つの材料の中に共有結合とイオン結合がそれぞれどこにあるのか?可視化する研究を行っています。図2(c)には1401℃にペロブスカイト(CaTiO3)を保持したまま測定した放射光回折データを解析して得られた電子密度分布です。Tiと酸素原子の間の共有結合が可視化されています。クリーンで再生可能な水素エネルギー源として期待されている光触媒における化学結合を調べて、光触媒が可視光に応答する構造的要因も明らかにし、新しい光触媒をデザインします。また、第一原理バンド計算を行い、化学結合と構造、相安定性の本質に迫ります。図1(a)の放射光回折装置は分解能が高く、バイオ材料等複雑な先端材料の研究も推進します。熱電材料磁性材料も調べます。


研究室の雰囲気

 教育方針: 世界をリードする研究者・科学技術者を育てます
世界トップレベルの研究を学生さん自身が(1)立案する, (2)実施する, (3)発表する能力を磨きます。研究室のセミナーでは文献紹介と研究報告を行います。研究報告は英語で発表します。大学院生全員が国際会議で発表するようがんばっています(学生の発表場所:スペイン、英国、香港、ハワイなど)。世界で活躍できる研究者と技術者を育てるため、最先端の設備・巨大施設を使って解析装置の設置・光学系調整、データ測定、データ解析を行います。また、純度の高い試料を合成し、量子化学計算・第一原理計算も行ないます。個々の学生が独立性を持って研究を行いますが、高エネルギー加速器研究機構、日本原子力研究開発機構(図1d)、SPring-8など巨大施設では全員が協力して実験を行います。テーマの異なる学生職員間で自由な議論、情報交換をします。修士課程の学生さんの研究成果が新聞に大きく取り上げられています。大学院生の受賞が続いています(Best Poster Award in 3rd International Congress of Ceramics, 結晶学会ポスター賞, 学問のすすめ賞など)。親睦を深めるために行なう飲み会が楽しみです。